7日間ブックカバーチャレンジ ④(「ブラハの春 モスクワの冬」藤村信)

 1968年のチェコ事件や「5月革命」からヨーロッパの社会主義陣営で起こり始めた自由化への歩みは一進一退だった。
 その意味を丹念に分析したのが、パリ駐在の中日新聞記者、藤村信さんだ。
IMG_3793.jpg
 岩波の「世界」に掲載された「パリ通信」は世界がどうなっていくのかを今、考察していくというスリルに満ちた試みである。
「歴史とは歴史家と事実の間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります」
 というE・Hカーの言葉そのままを実践している藤村さんの仕事に感嘆した。
 藤村さんの関心が時代とともに中東へシフトして、イスラムにはまるで無関心だった私は興味を失った。もちろん藤村さんの着眼が正しかったことは言うまでもない。中東は現代史の中核に躍り出たのだから。
 1988年の「夜と霧の人間劇」を最後に「パリ通信」は読めなくなった。ボードリヤールのいう消費社会の真っ只中で仕事をしているわが身には藤村さんを読むのがつらくなっていた。
 もう少し我慢していたらベルリンの壁の崩壊を藤村さんの文章で読むことが出来たのに。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント