7日間ブックカバーチャレンジ+ (「十一面観音巡礼」ほか 白洲正子)

 十一面観音像を拝んでみたいと思ったのは井上靖の「星と祭」を読んだからだ。  井上靖は、最近でこそあまり話題にならなくなったが、一時期はノーベル文学賞候補に毎年のぼる、今の村上春樹のような存在だった。  最近、彼を読んだという人を聞かない。  隔世の感がある。「星と祭」は井上さんの晩年の作品(昭和47年)で、琵琶湖でボート…
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7日間ブックカバーチャレンジ+ (「金沢・酒宴」吉田健一)

 丸谷才一を読んで読むようになったのが吉田健一だ。  ご存知のように独特の癖のある文体で、音読すると息継ぎが大変である。しかし読み進めていくとそのうちに魔力に囚われ、中毒になったように次を読みたくなる。大阪の「インデアンカレー」に似てる。大先生がここのカレーを食べたかどうかは知らない。  逆に私は「金沢」に夢中になるし、酒は「菊正」…
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7日間ブックカバーチャレンジ+ (「随筆集」丸谷才一)

 神戸の会社へ入るまで大阪の下町育ちだった私にとっての中華料理はラーメンと焼きめしぐらい。親が油っぽい料理やニンニクを好まなかったということもあり、家庭の食膳に中華メニューはほとんど登場しなかった。隣家は「珉珉」だったのに。  会社に勤めてまだ間もないころ、食通の先輩が東京のお客さんを接待する場に同席を許された。それは元町の「別館牡丹…
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7日間ブックカバーチャレンジ ⑤(「街道をゆく」司馬遼太郎)

 勤めだして最初に仕えた上司が司馬遼太郎をよく読んでおられた。  ちょうど「翔ぶが如く」から「坂の上の雲」を読み進めておられた頃かしら。 「どう思う?」  と聞かれたが、あまり読んでもいなかったので、 「よく分かりません」  と答えた。  だが本当はゼミで、 「司馬など論外」  という空気に染まっていたからだ。大学での司…
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7日間ブックカバーチャレンジ ④(「ブラハの春 モスクワの冬」藤村信)

 1968年のチェコ事件や「5月革命」からヨーロッパの社会主義陣営で起こり始めた自由化への歩みは一進一退だった。  その意味を丹念に分析したのが、パリ駐在の中日新聞記者、藤村信さんだ。  岩波の「世界」に掲載された「パリ通信」は世界がどうなっていくのかを今、考察していくというスリルに満ちた試みである。 「歴史とは歴史家と事実の…
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7日間ブックカバーチャレンジ ③(「ハーメルンの笛吹き男」阿部謹也)

 大学へ入り、専攻は西洋史にした。  一学年、10名である。  西洋史と言っても範囲は広うござんす。  10人の学生が勝手な国と時代を決める。専門課程の先生は4人。イタリア近代史、ドイツ中世史、ドイツ現代史、イギリス近代史が専門の先生がいて、教養からフランス近代史、ローマ史の先生が手伝いに来られる。  それ以外をテーマにするなら…
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7日間ブックカバーチャレンジ+ (「戦争と平和」トルストイ)

「次郎物語」も「ジャン・クリストフ」も長編だ。高校時代は長編でないと小説ではないような心境で本を選んでいた。「魅せられたる魂」「チボー家の人々」などと進み、長いからという理由だけで「静かなドン」「戦争と平和」「復活」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」なども読んでいた。最近では話題にならなくなった芹沢光治良の「人間の運命」も読んでいた。 …
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