秋山大治郎vs佐々木磐音

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 最近、どっぷりはまってしまったものに「居眠り磐音江戸双紙」がある。

 NHKのドラマではときどき見ていたが、全部見たわけではない。
 原作も読んだことはなかった。

 それが「薄桜記」をきっかけに読み始めたら止まらなくなった。
 かっぱえびせんみたいな小説である。
 第1巻の「陽炎の辻」を買ったのは9月1日だが、目下30巻目で、あと10巻まで来た。年内に最新作までたどりつきそうだ。
 文庫のこしまきをみると巻によって、1350万部、1400万部、1450万部のベストセラーと宣伝されているのでかなりのひとが中毒症状になっていると思われる。
 これだけ先へ先へと追い込まれた作品は「太王四神記」と「朱蒙」以来かしら。

 小説の坂崎磐音はテレビのそれと違って身なりはかまわない、といおうか、貧乏のために身なりを「かまえない」青年になっている。
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 テレビの磐音は黒の着物に赤の裏地でまことにかぶいており、そこに大きな違和感を覚えたものだ。

 テレビではシリーズが「③」で終わり、坂崎磐音がおこんと豊前関前に戻りふるさとで仮祝言をあげたところで一旦休止となっている(先があるのかどうかは知らない)。
 小説で云えば第21巻である。

 シリーズ③は次期将軍の徳川家基暗殺を狙う田沼意次が送り込んだ刺客らと坂崎磐音らの対決が主軸だが、山形へ嫁いだ奈緒のエピソードを挟んだりして、原作の圧縮を図っている。
 磐音とおこんが結婚し、家基も安泰で、奈緒も山形で幸せに暮らし、江戸へ戻ったら佐々木玲圓の養子に入り磐音の姓も変わる手前で終えているのである。
 その意味ではおさまりのよいところで切っていて、なるほど「坂崎」磐音の話はここで終わりなのである。
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 「居眠り磐音江戸双紙」では田沼意次が悪役である。意次を悪役に仕立てたはなしを読むのは久しぶりである。学校で習ったときには汚職政治家としてくそみそだった意次が、古くは山本周五郎が「栄花物語」で評価替えを行い、NHKのドラマ「天下御免」でも開明的政治家として描かれるようになった。
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 その後、池波正太郎の「剣客商売」があまりにも有名になり、この作品が意次を好意的に扱ったものだから、彼の評価は賄賂にまみれた腐敗政治家から進歩的な政治家に変わってしまった。
 秋山小兵衛はその意次の相談役。子息大治郎は意次の娘、三冬を娶るのである。
 よって、意次が家基を亡き者にせんとすれば、当然、秋山大治郎対佐々木磐音の対決が起きるはずなのであるが、いくら楽しみにしてもそういうことは起こらない。原作者の佐伯泰英氏は池波正太郎のもち味をこのシリーズに巧みに取り入れている。氏が師と仰いだかどうかは知らないが、池波氏に対して先人としての敬愛があるだろう。よって、秋山父子と佐々木父子の対決は永遠に見ることはできまい。
 
 でも、対決したらどっちに軍配があがるだろう?
 どっちが負けてもいやだなぁ~。

 ファンとしては、大治郎と磐音が「宮戸川」で鰻をやって、「不二楼」へ行くと小兵衛と玲圓が酒をかわしてたぐらいなら「まんぞくまんぞく」かしらね。

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