潜水艦モノ~小沢さとるの青6、707~

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 潜水艦ものといえば小沢さとる! だった世代である。

 今更ながら、ではあるのだが、アニメ化された「青の6号」(1998年)と「サブマリン707R」(2003年)を見て感涙にむせんだ。潜水艦の戦闘シーンは、昔の漫画同様に面白く、戦っている理由がよく分からない点も昔と同じなのである。

 昔の漫画には世界観などなかった。ほとんどなかった、といった方がよいかな。世界を征服したがる巨悪が「敵」でよかった。何故、征服するのかなんて理屈がなかった。敵は残忍非道と決まっていて、たいていの主人公は親兄弟を敵に理由なく殺されて、復讐を決意する。しかしそのうちに復讐を虚しいモノだと感じて・・・。

 小沢氏の漫画は、典型的なまでにそうだった。

 「サブマリン707」は海上自衛隊の艦船であるため公然と交戦することは出来なかったから、国連軍の枠の中で戦闘をしていたはずだ。思えば現在の自衛隊国際派遣の先取りである。敵はナチの残党とかムウ大陸の末裔とか、あまり大義をかざした相手ではなかった。「青の6号」に至っては、いったい誰を相手に戦っていたのかも記憶がない。

 どちらの作品も原作を手元から失ったので確かめようがない。私は、ただただ潜水艦のバトルに魅了されていただけである。

 小沢氏の絵は単純なのに精密だ。とりわけメカの表現が素晴らしい。それに潜水艦の戦闘は高度に知的で心理的だ。そういうことを教えてくれた。潜水艦モノの漫画は小沢氏を第一人者とし、あとがいない。

 どうして1998年にOVA版の「青の6号」が突然、作られたのかは知らない。しかし、このアニメ化された「青6」は映像が素晴らしい。外部スタッフが加わったせいか、世界観らしきものもある。たった4話で終わってしまったが、その世界観が視聴者に共有されやすいものであれば、もう少し続いたような気がする。地球温暖化のために海水位があがり、半ば水没した港湾都市は、さもありなんと思わせる風景になっている。大津波に襲われた神戸の姿を見たような気がしてドキリとした。海水位が上がった理由は、ひとりの科学者が造反を起こしたためであるというのが、いかにも小沢さとる風なのである。
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 マッドサイエンティストが諸悪の根源。こういう設定で昔の漫画は進んでいたのだ。鉄腕アトムの天馬博士もその枠を超えていない。

 2003年の「サブマリン707R」では、小沢氏らしいその原点に戻ったようで、いったい世界各国は、誰を敵として戦闘しているのかまるで分からない。大虐殺をするというメッセージだけが国連に届けられているのだが、その理由がまるで分からない。ただし、戦闘シーンだけは見事なまでに面白く、魅了されてしまうのである。
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 2003年にはアニメとは別に、小沢氏が「707」の試験作を公開していて、これはWebからもダウンロード出来る。その公開趣旨によれば、

~Fの失敗に学んでより707の原点に立ち帰ってドンガメのロマンをSウォーズにも比類される痛快を追求して創造に努めます~

 とある。この試験作「DEPTHWAR 潜水艦どんがめ一家 サブマリン707 海底2万3000年の航海」でもやはり、敵は正体不明で、顔が見えない。深海帝国"U"総統ナラク・U・レッド氏から「全世界国家元首及び首脳各位」へ、その存在を知らしめるためにロシア軍の「ピエールブイ」という潜水艦を沈めるという通告が来て、その通り「ピエールブイ」は沈むのである。

 まことに大状況は不可解なのだが、707号はハイテク化が進み魅惑的な艦に成長しており、相変わらずジュニアを搭載しており、冒頭はジュニアの収納場面だけで14頁が費やされているという、いやはや立派な機械オタク「小沢」ぶりなのである。まあ、違ってきたのは女性乗務員を搭載するようになったことかな。

 この試作品は160頁全5章で終わっているのだが、続きを見たいものである。

 707の艦長さん、身近にいる人に似ているのだが、さて誰であったか。。。

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