7日間ブックカバーチャレンジ ⑤(「街道をゆく」司馬遼太郎)

 勤めだして最初に仕えた上司が司馬遼太郎をよく読んでおられた。
 ちょうど「翔ぶが如く」から「坂の上の雲」を読み進めておられた頃かしら。
「どう思う?」
 と聞かれたが、あまり読んでもいなかったので、
「よく分かりません」
 と答えた。
 だが本当はゼミで、
「司馬など論外」
 という空気に染まっていたからだ。大学での司馬遼太郎の評判はよくなかった。
 当時の学生の気分は左翼尊重で、司馬遼太郎は右に位置づけられていた。
 また、貧乏学者や研究者のやっかみからだろうが、資料の集め方が金に糸目をつけないやり方で、
「けしからん」
 という奇妙な批判もされていた。
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「街道をゆく」は週刊朝日を家でとっていたのでときどき読んでいたが、大人風の文体になじめなかった。それがあるときを境にして全巻を揃えるようになったのだから不思議なものである。
 退職金で「司馬遼太郎全集」を買おうと思っていたが、いつの間にかほとんどの作品が文庫で集まってきたのでそれはやめた。
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 ついこないだまで旅行や出張にいくときには「街道をゆく」の相当巻と20万分の1の地図を携えていたが、今はどちらも電子版に変わっている。
「国民的作家」とか「司馬史観」と冷ややかに言われ、今でも学会には司馬さんに批判的な空気は残っている。しかしものごとを大づかみにできる歴史家は少ない。

 またしても日ロ交渉は暗礁に乗りあげているが、
「外敵を異様におそれるだけでなく、病的な外国への猜疑心、そして潜在的な征服欲、また火器への異常信仰、それらすべてがキプチャク汗国の支配と被支配の文化遺伝だと思えなくはない」国、ロシア。
 こういう司馬さんの指摘は今後も有効であろうと思うのである。

~司馬遼太郎. ロシアについて 北方の原形 (文春文庫) ~

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