「刑事フォイル」の意外な面白さ

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 NHKのBSプレミアムで始まった「刑事フォイル」からは大いに知的刺激をいただいている。

 ドラマは1940年5月から始まる。
 イギリス、ヘイスティングズが舞台。

 この頃、イギリスはドイツ軍の勢いに押されダンケルクに追い詰められていた。
 欧州大陸から英兵のみならず、仏兵まで引き揚げざるをえない状況に陥っていた。
 大陸からの引き揚げには民間船までが動員され、漁師らも協力した。

 ときの首相はチャーチル。
 5月と言えば、海軍大臣から首相に就任したばかりである。

 「ダンケルク大撤退」と呼ばれる状況に、本土への独軍の上陸まで覚悟した。

 こういう歴史背景がきちんと押さえられているのが「刑事フォイル」の面白さである。

 初回は「ドイツ人の女」。
 戦時中のイギリスにも、イギリスに住んでいるドイツ人はいたし、虐められていた。
 そんなドラマが展開されている。

 そりゃあ、そうだろう。
 思えば当たり前の話である。
 この辺の人間模様は、イギリスだって日本だって変わらないのだ。
 「マッサン」でもエリーが同じ目にあっていたのは記憶に新しい。

 「臆病者」ではさらに驚かされた。
 ナチを歓迎するイギリス人がいたことに、である。
 「ドイツの復興はヒットラーのおかげだ。イギリスの真の敵はユダヤ人とソビエトだ」
 と考える人もいたのである。
 反ユダヤ主義でナチス寄りのファシストは宮廷を含めて、イギリスの保守派から一定の支持を得ていた。

 チャーチルの「第二次世界大戦回顧録(抄)」によれば、当時のイギリスには2万人の組織されたドイツ人ナチ党員がいた、と書いてある。
 おそらくは相当、イギリス人への工作も行っていたのであろう。

 ドラマでは、容疑者である若い漁師は、国の動員命令に協力して、ダンケルクに追い詰められた英軍を救うために船を出す。
 33万人の兵士が生還した。
 しかし、ダンケルクの大撤退に協力した結果、この漁師は命を落とす。

 そういう知識はまるでなかっただけにドラマが新鮮で、毎回、見ながら歴史を学び直しているのである。

 「刑事フォイル」は第2次世界大戦の年表を脇に置きながら見るのがよい。

 ドラマは史実を押さえながら描かれている。

 何年の何月、というテロップには大きな意味があり、そういえば大河ドラマも昔はそうして学びながら視聴していたのであった。

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