「風の峠」と「銀漢の賦」

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 NHKの時代劇で近頃、出色と思ったのが「風の峠」。

 藤沢周平ものと思っていたが、葉室麟の作品。
 原作名は「銀漢の賦」である。
 ドラマをみているうちにこの感じはちょっと周平ものとは違うなと思ったのだが、確かめたら葉室作品。

 海坂藩から月ヶ瀬藩へ国替えしたわけだ。

 葉室麟さんの作品は「蜩ノ記」しか読んだことはないが、好きなタイプである。
 清冽な倫理観が一筋、主人公に漂うあたり藤沢周平に通じるものがある。

 ドラマ「風の峠」にもそれは通っている。
 でありながら、どこかユーモラスなのである。

 原作の「銀漢の賦」を読んでみたが、これにはドラマに漂っているユーモアがあまり感じられない。
 中村雅俊が演じる源五にコミカルな描写はなく、また柴田恭兵の演じる将監に漂う諧謔感のようなものも感じられない。
 おそらく、脚本家=森下直によってつけ加えられた要素なのだろうが、これはこれで気に入った。

 二人を襲う事件には切迫したものがあるのだが、事件そのものはどこか間が抜けている。
 それは事件の構想そのものが幼稚なせいなのか、追っ手側のおつむが足りないせいなのか、よく分からない。
 これを迎え討たんとする源五と将監の「老人力」のようなものが事件をコミカルに見せているのかもしれない。

 このドラマの面白さは源五と将監の老人らしいとぼけ方にある。
 とぼけながら、静かにはしゃいでいる二人の演技が面白い。

 今週で最終回を迎えるが、はたしてどのように締めくくってくれるのか。

 そうそう。
 このドラマのエンディングの曲は「漢(オトコ)ありて」。
 力のある歌だ。
 苦手だった泉谷しげるを初めて買いました。