「宇宙戦艦ヤマト2199」考~③ 放射能除去装置

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 「2199」が映画版で公開されたときにはすでに東日本大震災が起こっており、原発問題が深刻な事態を迎えていた。

 1stのリメイクである限り放射能汚染の問題は当然「2199」に登場するはずなのだが、「2199」では環境汚染に設定が変わっていた。
 これは企画段階からの設定で、震災や原発事故はそのあとに起こったことであり、放射能問題を扱わないことは始めからの予定路線だったと聞く。

 結果的には、これが「2199」の成功でもあり残念なところでもあったと感じる。

 「2199」はキャラも画面も筋も美しい。
 デスラー以外にこれといった悪人も登場しない。
 そのデスラーにしても随分ひ弱な悪役で、ヒスにまで罵られる小物になってしまった。
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 この作品全体の美しさが、甘さと軽さを生み、1stの不完全さを払拭したものの、1stのもっていた重量感を減じた。

 その重さとは「原子力」の問題であり「核」の問題であった。

 1stの魅力はまさにそこにあった。

 1stを作った西崎義展、松本零士の世代は色濃く戦争体験を引きずっている。

 昭和30年代から40年代前半にはまだ敗戦の気分と無念が社会全体に残っており、わしらが小学生の頃に読んでいた少年雑誌には「こうしておれば日本は負けなかった」というような特集が組まれたりしていた。
 1stに限らないが、ヤマトシリーズにはそういう「負け惜しみ」のような気分が残っている。

 1stをリアルタイムで見たわたしの世代もその影響を受けていたし、第3次世界大戦や核兵器の恐怖におびえていた。

 一方、原子力は平和利用によって人類の未来を明るく照らすものだと信じていたし「鉄腕アトム」を少年時代にみて育った同世代の優秀な人材は原子力の世界へ希望をもって進んでいった。

 今となっては、なんと無邪気な夢をと思われるだろうが、当時のこどもにとって、原子力は善良な人間が使うことによって平和エネルギーになる、ということはほとんど疑いようのない正義だったのである。

 1stの重さは、第3次世界大戦と核使用への怯えを背景に置かないと理解できないかもしれない。

 その重さを排除してしまった「2199」はそれがゆえに軽くなって当然なのである。


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