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zoom RSS ポリーニ

<<   作成日時 : 2010/02/21 15:51   >>

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 前にあげた「クラシックCDの名盤」の3人の評論家はポリーニに冷たい。

 宇野氏は「そやろなあ」と想像もつくが、あとの二人も全然評価していない。旧版から書き足していないのもポリーニに気の毒な感じがする。そんなに嫌い?

 ここで書かれているまでポリーニが無機的だとは思わない。
 それにポリーニには無機的であることを意識した魅力がある。

 昔、僕はショパンが苦手だった。ポリーニの演奏するピアノ・ソナタを聴いて考えが変わった。ベートーヴェンの後期のピアノ・ソナタも、ポリーニを聴くまでは退屈な音楽にしか思えなかった。

 ポリーニは、僕の食わず嫌いを徹底的に直してくれた。

 井上靖の小説に「流砂」という作品がある。シルクロードの遺跡を研究する考古学者と美貌のピアニストが砂漠へ新婚旅行に出掛けたところ、ポリーニ(小説だからP・マリーニという名前になっているけれど、ポリーニはM・ポリーニだからマリーニはポリーニだ)がベートーヴェンの29番のソナタを演奏するとの情報を新妻が得た。彼女は旅行を中断してパリへ帰ると言いだした。夫が反対すると荷物をまとめてパリへ単身帰国し、夫婦は別居してしまう。こういう話を小説家に作らせるほどの凄い影響力をもっていた。

 ポリーニの魅力は何だろう。並外れた集中力か。聴き手を常に緊張の中に放り込む磁場のようなものがポリーニの演奏には存在する。

 ポリーニの音は硬い。その硬質感が独特の魅力を湛えている。その硬さが内的な求心力を呼び起こす。ポリーニの集中力が聴いている僕にも浸透してきて、ポリーニが昇っていこうとする高みに僕も昇っていける。そんな錯覚を感じさせてくれるところがポリーニの魅力である。

 例えば、ベートーヴェンの32番のソナタ。第2楽章のひとつひとつの音の配置にそんな求心力が働くのを感じる。ブラームスのピアノ協奏曲第2番の第1楽章でもそうだ。ポリーニの叩く音は階段を昇るように、一定の高みへと僕を案内する。この高みに案内してくれることがポリーニを聴くうえで最高に魅力的な部分なのだ。
 
 ポリーニは青磁の酒盃。装飾などない。形も柔らかさもいらない。辛口の酒をきりっと飲むのに、手元に置いておきたい酒杯。酒を緊張感をもって飲み干すときに使いたい、薄手の鋭角的な青磁の酒盃。

 ポリー二を聴くときにはこんな酒盃で飲んでいたい。

 いや、それだと酒には酔えないかも。

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