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<<   作成日時 : 2011/06/04 22:49   >>

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 こんなときにこのひとがすでに出演していたのか!

 DVD1枚レンタル100円、にひかれて大河ドラマ「花の乱」を借りたら、すっかりはまってしまった。

 「花の乱」は大河史上最低の視聴率だったとか。印象に残っているのは、テーマ音楽の美しさと野村萬斎の怪演ぶり。中身はさっぱり覚えていなかった。

 しかし通して見始めると、この史上最低の視聴率しか得られなかった作品の見事さと面白さにすっかり魅了されてしまったのである。韓国歴史ドラマで女の戦いに固唾を呑んでいる方々は「花の乱」をご覧になるべきである。嫉妬と陰謀の渦巻く、すさまじい権力闘争が耽美的な映像で繰り広げられる。次から次へ見ないと気が済まない状態になった。「朱蒙」以来だ。

 放送は平成6年4〜12月の9ヶ月。全37話である。

 この時期、NHKは大河で変化球を投げている。大河ドラマは通常、1〜12月で一本が原則だったが、平成5年〜6年にかけて「琉球の風」(6ヶ月)、「炎立つ」(9ヶ月)、「花の乱」(9ヶ月)という変則放送となった。この三本は取り上げた素材も野心的で、琉球、東北、室町時代という、かつての大河ではやったことにないテーマで放送された。ただ、放送時間で視聴者に混乱を来したのか平成7年の「八代将軍吉宗」からはまた1年一本に戻した。

 原作は市川森一。脚本も兼ねている。オリジナル作品だ。応仁の乱を中心に悪女日野富子の生涯を追ったこの作品は、テーマとしてもオリジナリティをもっているし、全体として幻想性豊かで、耽美的傾向が色濃い。NHKとしてはかなりの冒険であったのではないか。

 配役がよい。足利義政を市川團十郎、富子を三田佳子。義政の青年時代を市川新之助、富子のそれを松たか子。富子の実の父(酒呑童子)を松本幸四郎。実の親子関係が配役にも反映している。細川勝元に野村萬斎、山名宗全に萬屋錦之介。みなさま、芸達者である。この顔ぶれから想像がつくように歌舞伎界、狂言界のバックアップがよい。見事な舞が全編通じて登場する。

 例えば、富子(松たか子)が勝元(野村萬斎)から舞を奪うシーンがある。勝元が祝いの舞を婚礼の席で披露しているときに、富子が勝元の扇を奪い、踊る場面があるのだが、松たか子のこの舞が素晴らしいのである。松たか子自身が名取りであるからうまいのは当然かもしれないが、野村萬斎のお株を奪ってしまう演出が実に面白い。
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 義政(市川團十郎)も見せてくれる。森女役の壇ふみの笛に合わせて舞う舞は実に自然で粋であり、見ほれてしまった。能や謡曲に詳しければなぜこのシーンにこの舞、この謡が選ばれているのかが分かり、より深く「花の乱」を理解出来るであろうに、と無教養を悔やむ。

 素晴らしいのは梨園の俳優ばかりではない。

 日野勝光役の草刈正雄は二枚目の優男イメージを払拭。権力に執着する悪役を見事に演じた。「汚れた英雄」ではダーティーなイメージが似合わない印象だったが、「花の乱」では腐臭漂うほどの汚れ役に徹していた。
 同じく、流石の演技、京マチ子の狂乱の場は文句なしに楽しませていただいた。
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 今参局のかたせ梨乃もよい。ちょっと演技過剰で肉感的すぎるきらいはあったが、まあ、これは好みの問題。今参局ってそういう女だったのね、というリアリティは感じさせてくれる。

 この作品に関しては本当に俳優さんがどんな脇役も素晴らしく、かつ脇役が活躍する構成になっている。書きたい俳優さんはまだあるので、それはまたの機会にして、こんなときに登場していたのか、と驚かされた俳優さんについて。

 鶴田真由さま、まさか「花の乱」に出演していたとは存じ上げませんでした。大館佐子役。けっこう汚れ役である。義政の正妻候補から政争に敗れてのち、娼婦に身を落とし、足軽の妻へと波瀾万丈の人生を歩む役である。鶴田真由さまは「徳川慶喜」での徳信院直子役、NHKの「氷壁」での八代美那子役、「篤姫」でお志賀役が印象に残っていたが、デビュー後早々に「花の乱」でこんな重要な役をもらっていたのだ。梨園の皆さんが揃うこの作品で、舞うシーンがあったがよくこなしていた。
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 いまひとり、びっくりしたのが松岡昌宏(足利義尚)。わしは「武蔵」のときの佐々木小次郎役が大河デビューだと思っていたのだが、10年近く前に重要な役で抜擢されておったのだ。死の場面はいささか脚本が粗雑で気の毒な気がしたがなかなかの若武者ぶりであった。
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 「花の乱」は暗い。これだけ暗かったら視聴率も獲れないだろう。しかし、上にも書いたが最後の2話を除けば、作品の質としては非常に高いものがある。これを放映当時評価できなかったのは、多分、わしが未熟だったからだろう。そしてまだ、底にあるすごさの幾分かは理解出来ていないと感じる。

 これが大河史上最低の視聴率だったがゆえに、NHKは路線転換を図ったのかもしれないなぁ、「江」のオープニングシーンを見ながら思った。

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