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zoom RSS よみがえれ大河ドラマ〜「太平記」の児玉清さん

<<   作成日時 : 2011/05/22 17:21   >>

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 児玉清さんがなくなられた。

 大河では、昨年の「龍馬伝」で龍馬の父役を演じられたのが最後の出演であったか。

 印象に残っているのは「太平記」における金沢貞顕役である。「北条時宗」で活躍した金沢実時(池畑慎之介=ピーター)の孫にあたる。今風にいえば、インテリ政治家で、15代執権にも就任したのだが、北条氏内の内紛に気兼ね(!)してか、1ヶ月ほどで辞任した。優柔不断に陥りがちなインテリ政治家の弱さを見事に演じておられた。

 大河「太平記」の前半のハイライトは、高氏が鎌倉を出て北条討伐を決意する第20話「足利決起」から始まる第六巻である。児玉清さんは第22話「鎌倉炎上」まで登場する。

 金沢貞顕の役どころは、腐敗し専横化する北条氏を憂う、臆病な良心的保守派と言えようか。貞顕は、源氏に難癖をつけ勢力を削ごうとする北条家の家人、長崎円喜(フランキー堺)を疎ましく思いながら、その傍若無人ぶりを抑制するだけの実力もなく、一方で北条政権の安定を確保するために源氏に対して同情的。中途半端な政治家として描かれている。

 第20話では足利尊氏が鎌倉を発って京で叛旗を翻すまでが描かれる。

 北条討伐を胸に秘め、高氏は出陣の挨拶に太守高時(片岡鶴太郎)の宅にまかり出る。長崎円喜や執権、赤橋守時(勝野洋)が足利謀反の可能性を否定しきれない不安な表情を浮かべ高氏を見送るのに対し、貞顕はにこやかに高氏を送る。そしてわずかに不安な表情を見せる。この間合い、お見事である。
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 第21話「京都攻略」では新田義貞が兵を起こす。一報を聞いた幕府の会議で貞顕はすでに混乱している。映像としては出てこないのであるが、高氏と佐々木道誉が寝返ったことは既に周知のこととなっている。円喜が幕閣の動揺を抑えようとする中、貞顕は「言わんことではない、それゆえ、それがしは足利は外へ出すなと申したのじゃ。野に放った虎だわえ」「六波羅はどうでもよい、京は遠すぎる。それよりも今この鎌倉に向かっている新田をまず討つべきであろう。」と叫び、ばたばたと関東の地図を探す。このうろたえぶりと小心ぶりがまた見事なのである。「こういうひと、いますよねぇ」と思わせてくれるのである。

 第22話は「鎌倉炎上」。この回は大河史上、不朽の名作のひとつであると思う。稲村ヶ崎からの奇襲攻撃で鎌倉に籠っていた北条氏は滅亡に追い込まれる。最後の執権、赤橋守時については第21回の出陣シーンが素晴らしいのであるが、ここで散る。ナレーションだけで、その最後の様子は描かれないのもおくゆかしい。

 追い詰められた北条氏は、高時を鎌倉から脱出させようとする。円喜が提案し、貞顕も脱出を勧めるのだが、高時は拒絶する。貞顕は他の武将に同意を求め、高時を力尽くでも逃そうと煽るのであるが、この様子がいかにも臆病者が高時にかこつけて、自分も助かりたいという浮ついた煽動であるように描かれている。円喜は貞顕を制し、鎌倉を死守する決断を下す。ここからの円喜、高時、貞顕の演技が際だって素晴らしい。「この鎌倉を死守いたそうぞ」という円喜の檄に武将らは力強く応え、貞顕はひとり取り残される。
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 東勝寺に集結した北条一族は、田楽舞を催しながら最後のひとときを迎えようとしていた。このなかには貞顕親子もいた。貞顕の酒を呑む手は震えている。心ならずもずるずると、ここに至ったことに後悔の色がある。

 一般的に、死出の旅路を迎えようとする場面はともすると美化する演出が多いのであるが、ここでは生への執着と混乱が描かれる。

 高時は「立派な最期を遂げるように」と伝えに来た母の使い、春渓尼に、

 「人間には業がある、死にたくないと泣き吠えて死ぬかもしれん」

 と言う。

 まるで高時に「死ね」と言わんがばかりの無言の脅迫が取り巻く一族から発せられる。自害の刃を腹にあてようとしたときに矢が飛んできて、高時はうろたえる。円喜がいう。

 「敵はまだ見えませぬ、ご案じのう」

 と自決を促す。

 高時は引くに引けなくなった困惑の表情を浮かべている。
 そこへ、春渓尼が追い打ちをかける。

 「太守がおさびしそうじゃ」
 「みな、ここへ」
 というと、女人らが高時を取り囲み念仏を唱え出す。
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 高時は仕方なく自決する。次々と「お先に」「お先に」という声があがり女人たちが自決する。一種の集団催眠のような怖さがある。そんななか、貞顕は自決ではなく、息子に頼み心臓を刺し貫ぬかせて死ぬのである。
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 児玉さんの出演はこの第22話までであるが、最後まで小心な文人武将を演じた姿が今でも心に残っているのである。

 ご冥福をお祈りします。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
気持玉有難うございます(^^)/
児玉清さんってほかの俳優さんと違って、殆ど自己主張せず、それでいて役を自分のスタイルに作り上げていく感じで、さすが昭和ひと桁!って関心していました。
こう言う、ある意味頑固な俳優さんは貴重でしたのに本当に残念です。
ことっち
2011/05/26 22:11
ことっちさん、
コメントありがとうございました。
「阪急電車」文庫本の解説も児玉さんでした。
多才な方です。
文人政治家の文人のほうはそのままだったんですね。
4tako
2011/06/04 22:59
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