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zoom RSS 「阪急電車」〜灘と土佐を結ぶ酒

<<   作成日時 : 2011/04/17 08:32   >>

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 「桂月をもってきたのか〜」

 「阪急電車」を読んでいたときだった。

 「桂月」は高知の酒である。有名どころといえば「土佐鶴」「司牡丹」あたり。「酔鯨」をあげる人もいるかもしれない。そこへ「桂月」だ。

 原作者、有川浩さんが高知出身。

 「なるほど」である。

 ただ高知でもローカルな銘柄である。蔵元「土佐酒造」が嫁さんの実家の近くなので呑む機会はあったが、およそ京阪神で入手するのは困難である。たまに土佐料理を看板にしている居酒屋のおばさんから「桂月、入ったよ」とはがきをもらって、おこぼれを呑ませていただく。生産量が少ないので遠くまでは流通していないのである。

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 土佐酒造は高知の山の中の蔵元である。高知自動車道の大豊インターで降りて、半時間ほど西へ走らなければならない。信号は数えるほどしかないので、正味半時間といえばかなりの距離である。途中、吉野川沿いの本山になぜか「モンベル」が店を出している。これは吉野川でのカヌー教室のため。その先の田井に「土佐酒造」はある。盆地の山際にひっそりと佇んでいる。周りは田んぼでのどかな風景だ。国道から狭い道に入っていかねばならぬ。

 「桂月」という酒名の由来は明治時代の文人「大町桂月」にあるという。大町桂月は高知出身のひと。紀行作家とでもいおうか。初めて呑んだとき、大町桂月に由来すると聞いて「そうなのか」と思った。漱石の何かに登場する人物である。
 
 ま、それは置いといて、桂月という酒だが、こういってはなんだが、普通のお酒である。幻の銘酒というタイプではない。一度呑んだら病み付きになるというようなお酒ではない。ただ、爽やか、といおうか、呑み飽きないのである。

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 あるとき、高知の山荘で同窓会をやったとき、桂月が出てきて、いくら呑んでも悪酔いしない、二日酔いにならない経験があって、これは桂月のおかげだ、と確信した。ま、こういうのはのんべえの信仰みたいなもので、そう思って呑んでいたら悪酔いしないものなのである。このときの酒の呑み方は随分豪快なもので、やかんに酒を注いで直火で沸かし徳利に入れる、という素朴且つ手間要らずなやり方であった。酔い覚ましに露天風呂へ入り、また宴会に戻ってしこたま呑み、また風呂へ入る。こういう蛮行を繰り返した翌朝、なんの頭痛もなく、朝飯がパクパク食べられた、という稀有な体験をしたので、わしは「桂月」を名酒だと思っておる。

 高知ではお酒のコマーシャルにもお金をかけている。例えば「土佐鶴」。関西ではほとんど見ることがないが、たまに高知へ帰ると、三田佳子があでな芸者さん姿で出ていたり、かいがいしく世話をやく武家の奥方風に出ている映像を見れて面白い。

 ネーミングが面白いのは「司牡丹」。

 同社の「船中八策」は坂本竜馬にちなんだものだが、これは爽やかな辛口で実に美味しい。昨年は「龍馬伝」が放送されたせいか比較的手に入った。ところが、放送終了後に近所の酒屋に頼んだら「ありまへん」という返事。またしばらく口に出来ないのが寂しい。

 ただ、お酒そのものは、名前を別に変えて売っている可能性はある。昔、大阪の百貨店で手に入らなくなって、高知市内の酒屋に「船中八策はおませんか?」と聞いたら、「中身は同じもんですわ」といって

 「自由は土佐の山間より」

 という、実に長い名前の酒を出されたことがあった。自由民権運動も盛んな土地柄であったから、名前の由来はわからんではない。いつのまにか幕末から明治へシフトしたのが可笑しい。

 今はといえば、

 「日本を今一度せんたくいたし申候」

 というお酒を売っている。

 土佐人の地元への愛は深い。郷土の人物、酒、ことば、食。 およそ阪神間のお話だと思っていた「阪急電車」に「桂月」をもってきた有川浩さんにもそれは溢れている。

 映画「阪急電車」は来週から関西で公開される。征志くんとユキさんの縁結びとなった「桂月」は登場するかしら。

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