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zoom RSS 龍馬伝(第16回「勝麟太郎」)

<<   作成日時 : 2010/05/02 17:47   >>

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 やるなぁ〜、と龍馬伝「勝麟太郎」(16回)を見て思った。

 かねて不思議だったのは「攘夷」だった竜馬が「開国派」の勝麟太郎を斬りに行ったはずが、逆に「開国派」に転じてしまったという件だった。ここをどうするのか?ドラマ「龍馬伝」の流れから推察すると、「福山」龍馬は単純な攘夷家ではないように描かれてきたからだ。

 実際に放送を見たところ、ここには絶妙の仕掛けが盛り込まれていて「なるほど!」と思った。

 実際のところがどうだったのか?これは分からない。攘夷派の竜馬が勝海舟を斬りにいって開国派に鞍替えしたというのは勝海舟の後日談である。海舟は察するにかなり外連味のある人物だから、話として面白く書いたということもあるかもしれない。額面通りに受けとれないのである。

 そこをシナリオはこう運んでいた。まず、龍馬を勝に2度面会させている。その間に武市半平太を勝と面会させている。饅頭屋長治郎を勝の書生に先に送り込んでいる。これが布石。もうひとつは、龍馬が自分で開国派へと変わっていく論理展開を自分の口でしゃべらせている。龍馬が口にした開国派への路は攘夷は攘夷でも「独立国としてあるべき防衛」の考え方だろう。「わしは剣術が強い」→「みんなそれを知っているからわしには喧嘩を売ってこない」という体験を国家レベルに置き換えたわけだ。

 「攘夷」という言葉は過激でその語感のもつ幅は極めて狭いように受けとめがちだが、自主独立国家であり続けたいという願望も含むとすれば龍馬の転向も合点がいく。この場合「攘夷」は「外国人を斬る」といった手段ではない。これが雑多に使用されることから混乱が生じる。その差を際立たせるために武市半平太の登場となったのではなかろうか?

 巨大な黒船を間近で見た体験から龍馬はいくら剣を振るっても勝てない、と知った。半平太の「夷人を斬りまくる」という発想が現実味を帯びて聞こえない。ならば、何をなすべきか?剣を振るって「独立」を確保出来ないならば、国を富ませて軍艦を造る。この抑止力でしか「独立」は守れない。だが、当時の日本の国体は藩があって、国はないという体制。現に英国はこの当時、外交権が将軍にあるのか、天皇にあるのかが分からず混乱していた。これでは独立を唱えても、主権が複数あるので外国政府が承認するわけがない。故に「日本人」の誕生、ということを「龍馬伝」は強調するのである。まあ、国民国家の成立を目指した先駆けに龍馬がいる、という捉え方だろう。意外に教科書的ですね。

 飛鳥井雅道の「坂本龍馬」(講談社学術文庫)はなかなかに面白い。「竜馬がゆく」で植えつけられた竜馬像に別の光を当ててくれる。司馬遼太郎の「竜馬」でもなく、「龍馬伝」の龍馬でもない坂本龍馬を知ることが出来る。
 龍馬と海舟の出会いが資料からいえば何に依拠しているか、などの分析は実に面白い。既に鬼籍に入った吉田東洋、これから活躍する山内容堂、まもなく失脚する武市半平太なども別の視点から眺めることが出来る。京大の日本史の先生だけにいかにこれまでの龍馬を主人公にした作品が、書かれていない事実を巧妙に組み合わせて作られているかを浮き彫りにしてくれる。

 こういう本を片手に大河ドラマを見るのも、大河の楽しみのひとつなのである。

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